残業は従業員にとっても会社にとっても大損の理由

 皆さん残業はどれくらいしていますか?月40時間の人もいれば数時間の人もいるかと思います。しかし、残業をすることによって様々な悪影響があることが研究でわかっています。
 
 このページでは、どのような影響があるかを含め、残業が従業員にとっても、会社にとっても大損になる理由を解説いたします。

 残業が従業員個人に与える影響

 残業を少しでもすることによって、以下のことがあると様々な国際機関の研究でわかっています。しかし、はっきり体感できないことが多いため、「自分は大丈夫だ」と思っていても、必ず影響はあります。以下のことにより、給料が上がりずらかったり、出世しずらかったりもします。

 早期死亡率の上昇

 残業することによって、運動時間や睡眠時間の減少、食生活品質の悪化することで、心臓・血管疾患のリスクが上昇するといわれています。また鬱病の発症率も上がります

 残業が0の人と週15時間の人では、脳卒中の発症リスクが1.33倍に。睡眠時間が6~7時間ののより5時間以下の人の方が、脳卒中の発症リスクが1.26倍、死亡リスクは1.19倍になると研究でわかっています。また寝つきが悪い「入眠困難」の人も、心筋梗塞などの循環器疾患で死亡するリスクが1.45倍高まる という研究も出ています。
(参考 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO23414880T11C17A1000000?channel=DF130120166093&page=2)
 
 残業が1日当たり3~4時間の培、冠性心疾患の罹患リスクが1.56倍高くなるという研究結果も出ています。
(参考 https://www.jniosh.johas.go.jp/groups/overwork/ronbun_a.html#02)
 
 このように様々な研究で、残業は心臓・循環器の疾患を発症するリスクが上がるといわれています。さらに週6時間の残業でも心血管疾患のリスクが高くなるともいわれています。また、労災発生率は残業時間とともにアップする傾向があります。つまり、残業は無しで働けるのが一番健康にいいです。

 人間関係の悪化

 残業で自分の時間が取れなくストレス発散できないことにより、家族や友人、同僚に当たってしまったり、愚痴を言ったのが相手にとってもストレスになったりします。また、周りの人と付き合いの悪化(家族サービス回数の減少など)もします。とある研究で、家族に夫(就業者)の就業によるストレスを感じるか調査したところ、大半が感じ取っていました。したがって、周りの人が離れていったり、離婚になったりします。

 集中力・思考力・クリエイティビティーの低下

 人は同じことにずっと集中することができません。長時間集中しようとすると思考力の低下も起こります。この状態で(朝出勤の会社の場合)夕方以降に残業をするということは、低い生産性のまま、仕事をやることです。そうすることで、時間あたりの進むスピードが低くなる上、ミスや事故なども起こりやすくなります。その結果フォローが必要になり、余計に人材やコストがかかります。当然仕事はなかなか終わりません。すると残業がさらに増えてしまいます。

 仕事に対する集中力がほしい場合、プライベートでリラックス(リラックスした集中)が必要です。また、クリエイティビティ(創造性)は、リラックスしているときに発揮されやすいといわれています。つまり、プライベートを大切にすることが生産性を上げるのです。
 
 労働時間が週50時間を超えると、生産性が大幅に低下するという研究もあります。また残業が10%増加することで生産性を2~4%低下させるとの研究もあります。これは、1時間が2時間になっただけで、20~40%生産性が落ちるという意味です。
(参考 https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/special/pdf/018-028.pdf#search=%27%E6%AE%8B%E6%A5%AD+%E7%94%9F%E7%94%A3%E6%80%A7+%E4%BD%8E%E4%B8%8B+%E7%A0%94%E7%A9%B6%27)

 勉強時間の低下

 「マーケティング」「リーダーのありかた」「経営」「英会話」など本を読んだりして勉強すれば成果は必ず出るはずです。特に営業担当の方は、本を読むことによって大幅に成果が変わるくらい効果があると思います。しかし、時間がなければ自己啓発の勉強はしませんよね?つまり、自分の給料も上がりずらいし、会社にも利益をもたらしません。

 運動時間の低下

 「早期死亡率の上昇」と関連するところもあります。また、太っているだけで、営業の成績が落ちるという研究も出ています。これは、健康体(体も心も)の人の方が自信を持ってスピーチをするため、相手が説得力があると思ってしまうからです。また、運動不足で加齢臭する人と仕事をしたくないですよね。さらに残業や、ストレス、運動不足によって体調を崩す確率が高くなります。

 残業が会社にもたらす影響

 生産性の低下

 「残業が従業員個人に与える影響」で一部述べましたが、残業は、人間関係の悪化、集中力・思考力の低下、勉強時間の低下、運動時間の低下により生産性の低下は明らかです。健康状態も悪化するため、急な病欠などによるフォローで他の人の仕事も増えてしまいます。
 
 残業が多いと離職率が高くなる上、募集の応募数も低くなり、人手不足のネガティブスパイラルに陥ります。また、優秀な人材の離職してしまうため、会社にとって大損になります。

 賃金

 残業時の賃金は、通常時の1.25倍(22時以前)を支払わなければなりません。正社員で1500円/時で給料をもらっている場合375円/時の残業代が出ることになります。月40時間残業した場合、月15000円の残業代になります。100人いれば150万円、1000人いれば1500万円になります。
 
 人を採用してでも仕事を分担すれば、150万円・1500万円はそのまま「利益」にならない(採用・教育コストなど)かもしれませんが、少なからず利益が出ます。さらに、仕事を人件費の安い部下に振ることができれば、人件費を抑えることができ150万円・1500万円以上の人件費の削減ができます。また、上記で述べた生産性のことを考えたら、それ以上の利益になると考えられます。

 この金額を「そこまで高くないや」と思う人もいるかもしれませんが、その仕事自体に1.25倍の人件費がかかっています。この1.25倍の内の0.25倍の残業代は、最終の消費者にしわ寄せされているのです。

 残業は、賃金が1.25倍かかっているのに、残業による集中力の低下や思考力の低下、クリエイティビティの低下など様々な生産性の低下要素が絡んでいます。簡単に言うと、残業は仕事の能力が低い人に高賃金を払うようなものです。

 管理職の残業1

 40代超えると1日に4時間(残業4時間ではない)を超えて働くと仕事の成果は落ちるため、それ以上働いても意味がないともいわれています。これは集中力の問題です。
 
 40代になると管理職といわれる役職の人が多いですが、管理職は、様々な部下から相談を受けたり、指示を求められたりします。こうなると自分の仕事に集中できないうえ、前に述べた相談や指示を出さなければいけないのです。しかし、自分の仕事→指示→自分の仕事→相談・・・と仕事をしていると、集中力を切り替える(矢印の場所)ときに、(感じている人は少ないですが)膨大なエネルギー使ってしまいます。また、先ほどまで考えていたことが、指示や相談によって、忘れたりしてしまいます。そうすると、以後の集中力が続かなかったり、仕事に対するモチベーションが下がってしまったりします。
 
 普通の労働時間の4時間でも生産性が落ちるといわれていることから、8時間働いた上に残業をしたら相当な生産性の低下があることが明らかです。
(参考 https://daigoblog.jp/company-life-dangerous/)

 管理職の残業2

 管理職は非常時以外に残業(週40時間以上)をしてはいけません。管理職が残業し大変そうに見えると、部下たちの出世意欲はなくなります。そうすると、管理職になる前までは出世しますが、それ以降は離職してしまいます。どんなに優秀な社員でも、やめてしまいます。つまり、管理職が楽しそうに(管理職になって良かったと思えるように)働くことが、優秀な人材を出世させ、経営陣にも優秀な人が集まるようになるのです。

 まとめ

 残業は、健康面でも、生産性の面でも悪影響を及ぼします。健康面・生産性の面は、問題ないと思っていても、実質的な数値は気づいていないだけで下がっているのです。健康で長生きしたいなら、残業を減らすか、残業のない会社に転職すべきです。

 残業がないのが一番ですが、会社により、残業が悪影響になりにくい会社もあります。今後、その件についても述べていきます。

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